日本政策金融公庫は生活衛生関係営業の景気動向等調査結果概要(平成22年1〜3月期)を発表した。
平成22年2月上旬、生活衛生関係営業3,220企業を対象に個別訪問面接方法で調査したもので、うちクリーニング業は250企業。
今回の調査結果の中からクリーニング業についてみてみたい。
調査では「良い(増加・黒字・好転)企業割合−悪い(減少・赤字・悪化)企業割合=DI」として表しているが、売上DIは今期1〜3月は▲68.0だった。前期10〜12月の▲51.6より低下した。
採算DIは▲46.8で、前期▲16.8から大幅に低下した。
業況DIは▲80.8で、前期▲16.4から大幅に低下したが、繁忙期にあたる来期は大きな上昇を見込んでいる。
利用客数DIは▲70.0で、前期▲52.0より低下。
客単価DIは▲54.0で、前期▲43.6より低下。
設備投資実施企業の割合は6.0%で、前期12.0%から低下している。
来期以降1年間の設備投資計画については、「予定あり」5.6%、「未定」22.0%、「予定なし」72.4%で、昨年同時期の調査時よりも「予定あり」が増え、「予定なし」が減っている。
経営上の問題点(複数回答)で多かったのは「顧客数の減少」81.6%、「客単価の低下」59.2%、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」23.2%の順。「特に問題なし」としたのは、わずかに2.4%だった。
来期の業況見通しに対する判断理由の特徴的なものとしては次のとおり。
【静岡県】不況下であっても、来期は衣替えのシーズン。例年通り大幅な売上増加を見込んでいる。
【香川県】来期は衣替えの時期で持込が増える見込みであるが、若者のカジュアル化やコート離れなどでクリーニング需要が減少しており、現状維持とみる。
【愛知県】来期は衣替えの時期で年間を通して最大の繁忙期となるが、個人消費の好転は見込めず、売上の回復には結びつかないと思われる。仮に価格競争に参入しても自分自身の首を絞めるといった不安があり、業況は悪化の見込みである。
今回、景気動向等調査とあわせて「生活衛生関係営業の設備投資動向調査」の調査も行っているが、その中からクリーニング業についてみてみると、平成21年に設備投資を実施したところが24.0%だった。金融機関からの借入状況は「借入あり」47.2%、「借入なし」52.8%だった。
設備投資の金額は「50万円以下」13.3%、「50万円超100万円以下」18.3%、「100万円超300万円以下」33.3%、「300万円超500万円以下」11.7%、「500万円超1,000万円以下」16.7%、「1,000万円超2,000万円以下」3.3%、「2,000万円超」3.3%だった。
設備投資の内容は「営業用機械・設備」60.0%、「店舗増改築・改装」15.0%、「車両」25.0%、「パソコン・ソフトウエア」6.7%、「店舗新築・購入」5.0%、「駐車場の設置」1.7%、「その他」6.7%。
運転資金動向としては平成21年に借入したところが14.8%。
借入の理由としては「1.赤字補填のため」16.2%、「2.借入の口数をまとめるため」29.7%、「3.売上の増加に対応するため」13.5%、「1.〜3.を除く資金繰りに対応するため」37.8%、「その他」2.7%。
またデフレの実感については、「かなりデフレである」45.2%、「ややデフレである」37.6%、「デフレという実感はない」17.2%だった。
価格に関しては1年前と比べ「引き下げた」12.4%、「据え置いた」83.6%、「引き上げた」4.0%。
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