日本政策金融公庫は2014年1〜3月期の「生活衛生関係営業の景気動向等調査結果」を発表した。
調査は3月上旬に生活衛生関係営業の9業種3,220企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は248企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。
■景気の動向
今期はすべての項目で前期を下回っており、全業種と比較してもクリーニング業の景気動向は厳しいものがある。来期(4〜6月)は繁忙期でもあり上昇が見込まれている。
項 目
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前 期
2013年10〜12月
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今 期
2014年1〜3月
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全業種計
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売上DI
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▲35.3
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▲43.1
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▲24.0
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採算DI
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▲13.7
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▲37.1
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▲12.5
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業況判断DI
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▲14.5
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▲59.7
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▲29.1
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利用客数DI
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▲39.5
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▲49.6
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▲28.2
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客単価DI
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▲38.8
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▲41.1
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▲19.5
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※DI=良い(増加・黒字・好転)企業割合−悪い(減少・赤字・悪化)企業割合
項 目
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前 期
2013年10〜12月
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今 期
2014年1〜3月
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全業種計
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設備投資実施
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11.8%
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9.7%
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12.5%
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項 目
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クリーニング
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全 体
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予定あり
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6.5%
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9.8%
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未定
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21.0%
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20.5%
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予定なし
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72.6%
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69.7%
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項 目
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クリーニング
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全 体
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顧客数の減少
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71.0%
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58.5%
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仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難
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46.4%
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39.0%
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客単価の低下
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38.7%
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25.4%
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店舗施設の狭隘・老朽化
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11.7%
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20.8%
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後継者難
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7.3%
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9.8%
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従業員の確保難
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4.8%
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13.7%
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事業資金借入難
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1.2%
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3.7%
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その他
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2.4%
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4.0%
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特に問題なし
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3.6%
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6.2%
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※複数回答のため合計は100を超える
■特徴的な業況判断理由
【今期】
- 栃木県の事業者(業況:好転)
クリーニング代金の支払いに使える「前売り券」(半年間有効の割引券)の利用を宣伝している。この効果で、新規利用客の増加につながり、客単価は変わらないものの収益は増加している。
- 茨城県の事業者(業況:不変)
原油、材料の高騰とクリーニングの顧客離れで厳しい状況が続いている。
- 島根県の事業者(業況:悪化)
2年前からメール会員だけのサービスデイを月3回実施しているが、悪化は続いている。
【来期見通し】
- 群馬県の事業者(業況:好転)
春の衣替えに伴い、お客様の持ち込み点数や利用単価の増加が見込めるが、消費増税がどのように影響するか不安である。春闘でのベースアップと景気の回復に期待し好転を見込む。
- 岐阜県の事業者(業況:不変)
消費増税は気掛かりだが、春の繁忙期に入り季節的要因もあり、例年並みの業況が予想される。
- 広島県の事業者(業況:悪化)
業界全体で新たな戦略を考えないと、現状を打破できない。収益のアップにもつながらない。
日本政策金融公庫の「生活衛生関係営業の景気動向等調査」は、全国の生活衛生関係営業の主な業種について、その景気や設備投資の動向などを把握するため、定期的に(年4回)実施しているもの。