第35回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)が平成26年11月21日から23日まで、愛知県名古屋市のポートメッセなごやで開催された。
この大会は障害のある方々の職業能力の向上をはかるとともに、企業や一般の人々に障害者への理解と認識を深め、その雇用の促進をはかることなどを目的に、昭和47年から毎年開催されているもの。
今年の大会でも、技能デモンストレーションで「クリーニング」(リネンサプライ)競技が実施された。
クリーニングのデモンストレーション競技は大きく分けて2種類。普段、リネンサプライ工場で実際に作業をしている社員が「病衣の手たたみ」「タオル類の手たたみ・機械たたみ(タオルフォルダー使用)」の競技を行う。なお、デモンストレーション競技は採点ではなく、競技後の講評が競技者ごとに行われた。
アビリンピックで初めてクリーニング(リネンサプライ)競技が行われたのは2012年の長野大会。これまで競技の開催に中心的な役割を果たしてきたNLSグループ(長野リネンサプライ株式会社、株式会社戸上リネンサプライ、社会福祉法人廣望会)の競技者に加え、同社の呼びかけに賛同した秋田基準寝具株式会社、白石クリーニング協同組合、長崎基準寝具有限会社から競技者が参加。合計9名によって競技が行われた。
競技者は職場の付添人とともに名古屋に数泊し、競技に備えた。一人も体調不良などを訴えず、元気に競技当日を迎えた。競技の待ち時間などには、仲良くなった競技者同士が和やかに談笑する場面も見られ、会場は昨年よりもにぎやかな雰囲気になった。
競技者たちは職場の仲間や上司からの声援を受け、普段の力を十分に出し切った。何よりも、「違う職場で同じ仕事をしている仲間」の仕事ぶりを目にできたことは大きな財産となった。競技者の交流も深まり、大変意義のある時間となったようだ。
アビリンピックの競技風景
リネンサプライ業界にとって、現在のデモンストレーション競技が全国規模の正式種目になることは大変大きい意味を持つ。特に今回の開催では複数の企業からの参加もあり、より具体性を伴った競技となったこともあり、早期の正式種目化を望む声も多くあがっている。
リネンサプライ業界は、障害者雇用が非常に進んでいる業界のひとつだ。しかし、その実状は社会にはあまり知られていない。正式種目化され、参加者のすそ野が広がれば、リネンサプライ業における障害者雇用も脚光を浴び、雇用が確保しやすくなる。それだけでなく、参加者や受け入れ企業相互の交流も進み、業界内にも活気を作り出せるであろう。
デモ競技の実施を中心となって推進してきた、長野リネンサプライ株式会社の納富廣幸社長は、「全国のリネンサプライ工場で働いている障害のある方々の一つの目標となり、技能の向上、生き甲斐に繁っていったら良いと思う。そのためにも、リネンサプライの競技が正式種目になってくれれば」と話している。
同社は障害者雇用に長年取り組んでおり、今では40人(実雇用率で50%)の障害者が貴重な働き手として就業している。
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