日本政策金融公庫は2016年4〜6月期の「生活衛生関係営業の景気動向等調査結果」を発表した。
調査は6月上旬に生活衛生関係営業の9業種3,155企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は277企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。
■景気の動向
今期(4〜6月)は繁忙期でもあり、すべての項目で前期を上回っている。
項 目
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前 期
2016年1〜3月
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今 期
2016年4〜6月
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全業種計
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業況判断DI
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▲46.6
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18.8
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▲13.0
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売上DI
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▲32.0
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▲18.1
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▲17.4
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採算DI
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▲24.5
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14.8
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1.4
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利用客数DI
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▲31.6
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▲19.2
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▲23.5
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客単価DI
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▲34.8
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▲26.4
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▲14.5
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※DI=良い(増加・黒字・好転)企業割合−悪い(減少・赤字・悪化)企業割合
■設備投資の動向
項 目
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前 期
2016年1〜3月
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今 期
2016年4〜6月
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全業種計
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設備投資実施
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13.4%
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17.3%
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17.1%
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項 目
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前 期
2016年1〜3月
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今 期
2016年4〜6月
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全業種計
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予定あり
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10.7%
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9.7%
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13.3%
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項 目
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クリーニング
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全 体
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顧客数の減少
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53.1%
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49.4%
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仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難
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22.4%
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32.5%
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店舗施設の狭隘・老朽化
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23.8%
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21.8%
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客単価の減少
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37.2%
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24.1%
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従業員の確保難
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14.4%
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19.7%
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後継者難
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10.8%
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9.4%
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事業資金借入難
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0.4%
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3.0%
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その他
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3.6%
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4.6%
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特に問題なし
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9.0%
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9.7%
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※複数回答のため合計は100を超える
■業況に対する判断理由
- 鳥取県の事業者(業況:来期悪化)
顧客の高齢化、価格低廉な安売店の影響で固定客が流れ、家庭で処理可能な製品の普及によりクリーニング店離れを感じている。これからはクリーニングを節約する人も多くなりお客様は少なくなると思う。
■経営取り組み事例
- 青森県の事業者
インターネットを利用した宅配クリーニング「リアクア」に加盟し宅配部門を展開した。また、自社ですそ上げ、ファスナー交換、ウエスト直し等のリフォームを特急仕上げで対応できるサービスを提供して売上向上に努めている。
- 福島県の事業者
テレビ、新聞等で「しみ抜き」の技術を取り上げてもらったおかげで、福島県内全域より依頼がきている。もっと技術をPRして全国から依頼されるクリーニング店になるようHPを充実し、動画配信など積極的に実施していきたい。
- 鳥取県の事業者
しみ抜きなど技術の向上とサービスの提供を徹底して、「あの店に頼めば安心安全」と思ってもらえるようにし、クリーニングのみならず、「カケツギ、寸法直し、補修、修理、ファスナー取り替え」など衣類のことなら相談出来るようにしている。また、アパートやマンションなど、じゅうたん・カーペット・こたつ布団・こたつ敷・毛布などの大型寝具類の収納スペースにお困りの方に、安く安心して預けられるように、保管管理システムを構築している。
- 徳島県の事業者
次世代のために、災害対策として地震津波の影響が比較的少ない所に第二工場を建築した。本社から15〜20分で行ける場所で、明るく働きやすい環境を目指した工場にした。
- 福岡県の事業者
衣替えセールの対象商品を絞り、割引率を20%から10%に変更したが、セール期間を長くした事で、昨年対比でプラスとなった。また、セール期間を長期にした結果、平均的に作業を行なう事が可能となり疲労度も例年に比べ少なかった。従業員の安定確保のため、働き易い環境を作ることも、経営面では大切である。
日本政策金融公庫の「生活衛生関係営業の景気動向等調査」は、全国の生活衛生関係営業の主な業種について、その景気や設備投資の動向などを把握するため、定期的に(年4回)実施しているもの。
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