日本政策金融公庫は2016年7〜9月期の「生活衛生関係営業の景気動向等調査結果」を発表した。
調査は9月上旬に生活衛生関係営業の9業種3,290企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は276企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。
■景気の動向
前期(4〜6月)は繁忙期でもあり、今期(7〜9月)はすべての項目で前期を大きく下回っている。
項 目
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前 期
2016年4〜6月
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今 期
2016年7〜9月
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全業種計
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業況判断DI
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18.8
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▲46.0
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▲17.6
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売上DI
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▲18.1
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▲28.0
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▲19.3
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採算DI
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14.8
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▲5.4
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▲0.8
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利用客数DI
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▲19.2
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▲32.4
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▲25.3
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客単価DI
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▲26.4
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▲32.7
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▲14.3
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※DI=良い(増加・黒字・好転)企業割合−悪い(減少・赤字・悪化)企業割合
■設備投資の動向
項 目
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前 期
2016年4〜6月
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今 期
2016年7〜9月
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全業種計
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設備投資実施
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17.3%
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16.3%
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17.0%
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項 目
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前 期
2016年4〜6月
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今 期
2016年7〜9月
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全業種計
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予定あり
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9.7%
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10.9%
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11.3%
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項 目
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クリーニング
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全 体
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顧客数の減少
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57.6%
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50.4%
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仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難
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23.2%
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29.4%
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店舗施設の狭隘・老朽化
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19.9%
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21.8%
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客単価の減少
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38.4%
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24.7%
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従業員の確保難
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13.8%
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20.4%
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後継者難
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9.4%
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9.1%
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事業資金借入難
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2.2%
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3.2%
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その他
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2.5%
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5.2%
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特に問題なし
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8.3%
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9.9%
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※複数回答のため合計は100を超える
■業況に対する判断理由
- 滋賀県の事業者(業況:来期悪化)
顧客の高齢化、地域の人口減少、材料費の値上げなども重なり、だんだん悪化していく。
■経営取り組み事例
- 北海道の事業者
客単価を上げるために、特殊水洗いなどの付加価値を強調したポップを店内に貼って来店客に勧めている。
- 青森県の事業者
スタッフの待遇改善のため給与体系を見直した結果、スタッフのモチベーションが高まり売上増加につながった。
- 埼玉県の事業者
ふとんなどの大きな品物が“洗えて宅配できる”ことをPRするチラシを作成し折込配布した結果、新たなお客様の開拓につながった。
- 滋賀県の事業者
顧客の希望に応えて、営業時間の延長や配達などを実施している。
- 福岡県の事業者
ホームページを充実し、染み抜き技術の高さをPRした結果、来客が多くなっており今後が楽しみである。
日本政策金融公庫の「生活衛生関係営業の景気動向等調査」は、全国の生活衛生関係営業の主な業種について、その景気や設備投資の動向などを把握するため、定期的に(年4回)実施しているもの。
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