全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(小池広昭会長)は、利用者がクリーニング店に品物を出したまま長期間にわたって引取りに来ないケースが増え続けていることから、長期間放置品の実態を初めて調査した。
長期間放置品にかかわる所有権の問題は長年の課題だが、全ク連では平成29年度の重点事業として、この解決策構築にむけてクリーニング賠償問題協議会を中心に、関係省庁、関係団体と協議を進めている。実態調査はこの取組みに関連して行われたもので、クリーニング店にある長期間放置品の点数やその取扱いなどについてアンケートを実施した。
調査によると長期間放置品がある店は9割近くにのぼり、なかには200点以上の品物があるところや25年以上も保管しているというケースも見受けられた。
また長期間放置品を返却する際の保管料(延滞金)については90%以上が「請求したことはない」としている。
今回の調査結果をもとに、全ク連は早期の引取りに関するお願いに加え、クリーニング店に衣類を預けたままにする利用者の何気ない行動がクリーニング事業者を困らせている現状を周知し、それが最終的には利用者のデメリットにつながってしまうという構図をアピールして、問題解決にむけた流れを醸成することを目的としたPRキャンペーンを企画・展開する。
長期間放置品の実態把握のためアンケート調査結果
■長期間放置品の有無
仕上がり予定日を過ぎても数カ月から1年程度以上、引取りのない品物(長期間放置品)があるか尋ねたところ、9割近くが長期間放置品があるとしている。
■長期間放置品の点数
長期間放置品が「ある」場合、その点数は「10〜19点」が最も多く、なかには「200点以上」というケースもあった。
1〜9点以下
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24.2%
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10〜19点
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27.2%
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20〜49点
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23.9%
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50〜99点
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14.5%
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100〜199点
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7.8%
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200点以上
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2.4%
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■長期間放置品の増加数
長期間放置品が「ある」場合、1年間にどれくらい増えるかという設問では、約7割が「1〜9点以下」としている。
1〜9点以下
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67.9%
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10〜19点
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22.8%
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20〜49点
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6.8%
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50〜99点
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1.6%
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100〜199点
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0.5%
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200点以上
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0.3%
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■長期間放置品の年数
長期間放置品が「ある」場合、一番古いものは「3〜5年未満」が最も多く、次いで「5〜10年未満」だった。なかには「25年以上」のものもあった。
1〜3年未満
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15.4%
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3〜5年未満
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23.2%
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5〜10年未満
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20.5%
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10〜15年未満
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14.0%
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15〜20年未満
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11.1%
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20〜25年未満
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10.0%
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25年以上
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5.9%
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■長期間放置品の種類
長期間放置品が「ある」場合、その種類で最も多かったのは「ワイシャツ・ブラウス」、次いで「セーター・カーディガン」「スーツ類」の順だった(複数回答)。
ワイシャツ・ブラウス
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68.6%
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セーター・カーディガン
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58.7%
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スーツ類
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53.9%
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コート・ダウン・ジャンパー類
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49.3%
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布団類
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42.4%
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じゅうたん・カーペット(敷物)
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32.4%
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ワンピース類
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25.2%
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和服(きもの、ゆかた等)
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24.7%
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マフラー・ストール類
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15.5%
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毛皮類
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13.4%
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靴・かばん等
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1.1%
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その他
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4.3%
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■長期間放置品の理由
長期間放置品が「ある」場合、「客が転居、亡くなる等連絡が取れなくなったため」「客が忘れているため」が2大原因となっている(複数回答)。
客が転居、亡くなる等連絡が取れなくなったため
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64.3%
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客が忘れているため
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62.5%
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客に連絡しても引き取りに来ないため
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47.7%
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客の連絡先を聞かなかったため
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32.4%
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客が連絡先を教えてくれなかったため
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15.3%
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その他
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6.7%
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■長期間放置品の対処
長期間放置品をどのようにしているかと尋ねたところ、66%が引取りに来るまで期限を区切らず保管するとしている。
期限を区切らずに(引取りに来るまで)保管
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66.3%
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期限を区切って処分
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31.3%
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その他
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2.4%
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■長期間放置品の処分
長期間放置品を「期限を区切って処分している」場合、処分までの期間は「預かってから5年以上」が半数を占めている。
預かってから1年
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3.4%
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預かってから1〜2年
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5.2%
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預かってから2〜3年
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14.7%
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預かってから3〜5年
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25.5%
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預かってから5年以上
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51.7%
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■長期間放置品の負担
長期間放置品が「ある」場合、その負担となるのは「保管スペースの確保」が最も多かった(複数回答)。
保管スペースの確保
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78.6%
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温度・湿度など適切な保管環境の整備
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17.2%
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適切な保管環境整備のための電気代・経費等
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5.1%
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保管スペースの賃料・経費等
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4.0%
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その他
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2.1%
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負担は生じていない
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16.4%
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■長期間放置品の保管料金
長期間放置品が「ある」場合、返却時に保管料(延滞金)を請求したかどうかでは、9割が「請求したことはない」としている。
保管料を請求したことはない
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90.1%
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保管料を請求して支払ってもらった
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5.5%
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保管料を請求したが支払ってもらえなかった
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3.3%
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その他
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1.1%
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■長期間放置品のトラブル
長期間放置品が「ある」場合、保管中の品物にトラブルが発生したことが「ある」55.2%、「ない」44.8%だった。
発生したトラブルで多かったのは「変退色」「しわ」「カビ」の順(複数回答)。
変退色
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62.1%
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しわ
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48.1%
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カビ
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28.2%
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シミ
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23.3%
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虫食い
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13.1%
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その他
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4.9%
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※調査は無作為に抽出した全国の組合員を対象に2017年8月10日から28日に実施、427の回答を得た。
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