日本公庫の景気動向等調査結果(2020年7~9月期)

日本政策金融公庫は2020年7~9月期の生活衛生関係営業の景気動向等調査結果を発表した。

2020年9月上旬に生活衛生関係営業の9業種3,290企業を対象に行われ、有効回答のうちクリーニング業は262企業。クリーニング業について、その結果をみてみたい。

業況判断DI
業況判断DI ▲84.0
売上DI ▲82.4
採算DI ▲66.8
利用客数DI ▲88.5
客単価DI ▲66.8
  • 業況判断DI=前期対比「業況好転」企業割合-「業況悪化」企業割合
  • 売上DI=前年同期対比「売上増加」企業割合-「売上減少」企業割合
  • 採算DI=当該期「黒字」企業割合-「赤字」企業割合
  • 利用客数DI=前年同期対比「利用客数増加」企業割合-「利用客数減少」企業割合
  • 客単価DI=前年同期対比「客単価上昇」企業割合-「客単価低下」企業割合
設備投資の動向
設備投資の実施状況 18.3
来期の設備投資実施予定 9.9%
経営上の問題点(複数回答)
顧客数の減少 85.1%
仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難 10.3%
客単価の低下 47.7%
店舗施設の狭隘・老朽化 13.0%
従業員の確保難 2.7%
後継者難 4.2%
事業資金借入難 1.9%
その他 11.8%
特に問題なし 2.3%
業況判断理由

【静岡県】業況:好転(今期)

コインランドリーも経営していて梅雨の長雨で好調だったこともあり、同時持込みの羽毛布団の丸洗いクリーニング需要も好調に伸びた。

【山形県】業況:悪化(今期)

ホテルや宴会場などのリネン部門は回復しておらず、一般向けも在宅勤務でワイシャツ需要が減り、感染リスクから持込み数自体が減っている。

【福井県】業況:悪化(今期)

コロナ禍の影響の長期化で、来客数の減少と洗濯単価の低下が続いており、感染防止対策の消耗品費負担も大きくなっている。

【栃木県】業況:好転(来期)

新型コロナの影響は依然として続くと思われるが、秋冬の衣替えの時期になることや、国の経済活動への支援策から観光等で外出する機会も増えることから、少しは回復すると期待している。

【大阪府】業況:好転(来期)

国のGoToトラベル事業が本格化する10月からホテル宿泊客が増える見込みがあり、リネン需要も持ち直すと期待している。

【石川県】業況:悪化(来期)

感染への不安から外出自粛ムードは根深いうえに、ワイシャツやスーツ等の洗濯点数の多い需要が落ち込んだままである。

【長崎県】業況:悪化(来期)

在宅勤務が普及し、安定していた通勤用のワイシャツやスーツ等の洗濯需要が冷え込んだままであり、益々厳しくなっている。

経営取り組み事例

【青森県】

一般洋服のドライクリーニングが減少していることから、水洗いできるスニーカーやスポーツ用品、特殊染み抜き等に重点を置いた営業に取り組んでいる。

【滋賀県】

店頭での売上が半減しているため、インターネット部門での売上増加に力を入れている。インターネットを介した需要は巣ごもり生活で増加しており、今後の店頭需要にも繋げられるようホームページの更新を行った。

【京都府】

季節や天候に左右されない業務用の白衣等の洗濯にシフトし、病院や高齢者施設等への訪問営業を強化している。

【岡山県】

クリーニングやハウスクリーニングの情報を発信しているサイト運営事業者の取材を受け、感染防止対策やしみ抜きなど、自社のオリジナル技術等について紹介された。自社HPのコンテンツ見直しやSNS等活用した動画配信など、地域外の顧客の獲得を目指していく。

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