異業種とのコラボレーション
第6回 コイン洗車場(後編)

意外な組み合わせ、クリーニング業と「コイン洗車場」とのコラボ企画については、小社がプロデュースした実例をその経緯とともにご紹介します。

福島県福島市にある「クリーニング・ミーバス」黒岩店は、平成2年にドライブスルー型ユニットショップとしてオープン。福島県は典型的なクルマ社会で、郊外型の便利なお店として最盛期には年商4千万円以上の主力店となりました。
その後、売上はクリーニング需要低迷とともにダウンしましたが、十代の女性スタッフが活き活きと働く「ティーンズのお店」としてリニューアルし、若いスタッフ育成のモデル店として注目を集めていました。

ところが4年ほど前、市の区画整理や地権者の土地再活用の流れの中で急遽移転を迫られました。当時、黒岩店は市街地と新興住宅地をつなぐ生活道路沿いの好立地で年商3千万円前後ありましたが、近くのショッピングセンターには強力なライバルのクリーニング店も営業していました。

そこで、既存顧客をできるだけ失わないことを最優先に近隣で代替地を探しました。しかし、近隣は住宅地・農地がほとんどで、ユニットショップが移転できる土地どころか営業店舗のみで借用できる物件さえ見つかりません。
もちろん、ミーバス経営陣は知人や地元の不動産業者を回って必死に探しましたが、全く該当物件がなく・・・このままでは年商3千万円の売上をそっくり失うことになります。

小社では現地周辺を丹念に探索するのが最善策と考え、ミーバスの二世経営者と二人で店舗になりそうな場所・建物を道路沿いに一軒一軒訪ね歩きました。そして「この先は阿武隈川。橋を渡ると違う地区に・・・」と諦めかけた時、橋の向こう側にコイン洗車場を発見!その瞬間、頭の中で「洗車・クルマ・ドライブスルー・クリーニング」のキーワードが響き合いました。これが、コイン洗車場とのコラボレーションが実現するきっかけです。

コラボ

さて、橋を渡って件のコイン洗車場へ駆けつけると、思った通りに整地された広い敷地とユーティリティが揃っていました。ところが、店名もチラシも連絡先も見当たりません。そこで近所を聞き込みすると、向かい側の農家がオーナーだと教えてくれました。

こうなれば、企画提案書をまとめてオーナーを口説き落とすしかありません。「設備はあるので勝手にコインを入れて洗車を」という放置タイプ、事業意欲の淡白なオーナーを口説くには「大きな負担はかけません。力を貸してください。いっしょにコラボしませんか?」という、シンプルかつコラボ的アプローチは最適です。何より「利用客はクルマと衣類がクリーニングできる」という営業面の相乗効果に説得力がありました。

このコラボ企画により、ミーバス黒岩店は洗濯設備のない営業店舗として最少のイニシャルコストで移転を完了することができました。借用部分は幅広のドライブスルーで駐車場が共用でき、年中無休の一日11時間営業でも電気代は毎月約2万円。店舗部分には内装・キッチン・トイレ付きの高級プレハブハウスをリース契約。この条件で借地代・建物リース代・電気代の合計が約14万円ですから、旧店舗よりもランニングコストが割安になりました。

特にスタッフは若い女性中心なので、勤務環境が大切。店舗内に休憩室・更衣室があっても屋外の仮設トイレでは防犯上、人通りのない夜8時の閉店時刻に利用できません。その点、コイン洗車場は上下水道と浄化槽が既設なので、清潔な水洗トイレを屋内に用意できました。

現在、黒岩店は10~30代の女性スタッフ4名のローテーションで年中無休、朝9時~夜8時(日曜祝日は朝10時~夜6時)で営業しています。また、平日は一人受付、土日終日と月曜日の夕刻は二人受付の勤務体制です。
残念ながら売上は旧店舗に及びませんが、月間売上は最低でも100万円、最高は170万円で年商1,800万円前後を維持しています。

そして、コラボ相手に満足いただいていることが何よりの成果でしょう。無人のコイン洗車場に女性スタッフが常駐する店舗ができ、土日祝日に偏っていた洗車利用客が平日の昼間にも増えたことがコイン洗車場オーナーに認められた結果です。

コイン洗車場とコラボしたミーバスの写真紹介

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ブルースパイスではクリーニング業者とコイン洗車場オーナーとのコラボ事業をサポートしています。その概要や費用については、お気軽にお問い合わせください。

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