技術ノート
第3回 上手なタンブラードライヤーの選びかた

■タンブラードライヤー

タンブラードライヤー、通称タンブラーと呼ばれていますが正式名称は回転乾燥機となります(以下乾燥機)。

乾燥機は大きく2つに分類出来ます。一つ目は小型機50kg程度までの負荷量で、手動で操作する機械。
もう一つは大型機100kg以上の負荷量で、マテハン対応で自動制御される事が主の機械です。
おのおの特徴があり、各社からたくさんの機種が販売されています(特に小型は輸入機も含め数多く販売されています)。

小型機はホームクリーニングの業種を中心に多目的に使用されています。従って、いろんな用途に使いやすい仕様のものが好まれ、乾燥性能はあまり問われません。

大型機はリネンサプライ工場を中心に連洗ラインや自動化ラインに組み込まれて運転されています。この場合、生産性や性能が優先されます。また自動化ラインに柔軟に対応する事も求められます。

■小型乾燥機の選び方

小型乾燥機は"色々な用途"に用いられます。
ウエットクリーニング後の処理やプレス前のコンデショニング、タオルの乾燥とさまざまです。

ポイント1

乾燥温度設定は"低い乾燥温度設定でも安定したコントロール"が出来る事がまず重要です。小型乾燥機の場合、温度調節は排気温度で設定し、入口温度を可変しています。少なくとも50℃設定で安定している事が目安です(これが以外と機械的には難しいのです)。
理由は、色々な素材を扱うので高い温度は危険な場合が多いためです。70℃以上は綿100%のタオル類の乾燥にしか用いる事はないでしょう。

ポイント2

やさしい乾燥をするため、"乾燥時間が適度に遅い"方が使い易いです。フルパワーの状態で、綿100%、残水率55~60%のタオルを基準負荷量を入れて40~45分以上で乾燥出来れば良いと思います。

小型機の場合、乾燥と同時に仕上がりの風合いが求められるものを多く処理します。乾燥し易い部分と地の厚い乾燥し難い部分がある場合、強すぎる乾燥性能はむら乾きが発生し易く、仕上げにてこずります。

ポイント3

複雑な操作が必要なものより"シンプルな操作で簡単"なものが故障も少なくベターでしょう。

注意しましょう

発火性のある溶剤で洗浄された衣料は、"専用の乾燥機で"乾燥しましょう。ランドリー専用と表示された機械は特別な安全対策は施されていません。
また植物油の付着した衣料を過乾燥してドラム内に放置すると "自然発火"する場合があります。

■大型乾燥機の選び方

大型乾燥機は自動化ラインに組み込まれ複数台設備され、高生産の現場で多く使用されます。従って、その性能や安定性が高度に要求されます。

ポイント1

生産量に対し、蒸気消費量の少ない"高効率"が重要です。
蒸気消費量が50kg/hr異なると、年間約120tonの蒸気消費量の差が出て、平均蒸気単価10円/kgとすると、なんと年間120万円の差が出る事となります。
連洗ラインでタオル生産して6台の乾燥機が設備されているとすれば、なんと720万円差が出ます。

ポイント2

安定して"高生産"が維持出来る事が重要です。
メンテナンス性を含め安定性を判断するには、やはり何と言っても"実績"がものを言います。現場での実績を調査し、選定するのが最も肝要です。

注意しましょう

加熱する乾燥機分野...しかし、各社公表されているデータは各社その扱いが微妙に異なります。計算は信用出来ません。
自社のメイン商品が何分で乾き、その時蒸気がなんぼ消費するねん!これが重要。簡単です、計算で乾燥しない、特に営業トークを丸飲みし信用してはいけません。
タオルの質、投入量で数字なんかはコロコロ変わります。厳しい条件設定で乾燥機の台数を設定する場合、充分注意が必要です。

話題の50~60kg負荷量これ本当に良いか??十分検討すれば以外な盲点あり。

■上手な機械選び即利益増

生かすも殺すもユーティリティー

乾燥機の性能をフルに発揮させるためにはユーティリティーは重要な要素です。

蒸気接続条件が適切な事!

消費量の20%は設備容量が多い事、配管径が指定通りの事、メイン管からリフトを取る事、蒸気の質が良い事。

ドレン配管が適切な事!

背圧が小さい事(入り出の差は5kg/cm2はほしい)、配管径が指定通りの事、チャッキまでは保温しない。

排気ダクト工事が適切な事!

背圧が小さい事(20~40mmaq以内が理想)、指定通りの断面積を確保する。

多賀電気