第3回 ユニット・ショップとは
ユニット・ショップ(アメリカではパッケージ・プラント)といえば、何か特別なお店とか、工場(作業場)を考える人もいるようだが、そんなことはない。ハードの面では、洗う機械と仕上げる機械があればよい。それらに付随してシミを抜く、包装する、品物を搬送する道具類があれば、なお結構。ソフト面では、決められた作業手順や伝票システムがあり、一定の営業システムに基づいて商売をすすめるクリーニング店ということになる。
つまり今、多くの人がやっているお店と何ら変わらないということになるが、実際には日本式とアメリカ式の違いがある。
日本の業界は、職人的な感覚で、親方の技術を受け継ぎながら地道に発展してきた。一方、アメリカではそれなりに独自の過程をたどった結果、今日のパッケージ・プラントに到達したといえる。
国民性としての合理主義の追求、多民族国家ゆえの意志統一と作業のマニュアル化は、仕事の簡素化や標準化を急速に推進し、業界全体のレベルアップに大きく貢献したといっても過言ではない。だから、その道程そのものは、いま苦難の中にある日本の業界にも大きな示唆を与えてくれるものではないだろうか。
いまやっている仕事を、もっと合理化できないだろうか。しかも一級の品質を維持したままで。それを可能にするのが、ユニット・ショップでなくてはならない。そのために作業場での機械設備の選定、レイアウト、作業手順、仕事の流し方にこだわりたい。
私の持論では、一級の品物は一級の店で提供されるべきであるから、お店の内外装も一級でなくてはならない。それはお金をかけて豪華にというのではなく、明るく、清潔さと活力のあふれたお店ということである。さらに付け加えるならば、このすばらしいお店に、クリーニングの知識はもちろん、繊維の知識や衣類の流行にもアドバイスできるカウンター担当者がいれば完璧ということになる。
ある意味では、そんなことは夢物語と思えるかもしれない。しかし、決して無理だというものではない。現実に、そんなユニット・ショップが存在しているのだから。