第6回 衣類のホームドクター
お客の立場からすれば、いつ、何を頼んでも、約束の納期に、満足できる品質で仕上げてくれる。急ぎのときにも、気軽に、確実に間に合わせてくれる。パーティーの席上、あやまってドレスにシミをつけてしまった・・・披露宴に出席するパパの礼服に見苦しいシワを発見した・・・いざというときに、いつも笑顔で対応して納得いく処置をしてくれる、そんなお店が近所にあったら、どんなに頼もしく、心休まることだろう。
欧米にある家族全員の健康状態を管理してくれるホームドクターのように、一家の衣類について面倒をみてくれるクリーニング店は、これからの新しいひとつのタイプであり、ユニット・ショップの目指すべき方向としても、一番似合っている気がする。
それに付随して、個性のある複合ショップ(例えば、シニア、ミセス、ジュニアなど、それぞれを専門とするファッション衣料を取扱ったり、アクセサリーや化粧品の販売、健康産業など)とするのも、面白いかもしれない。
衣類のホームドクターとしての家族ぐるみのおつき合いは、その友人知人を含めて商圏の拡大につながることはもちろん、販促の面での選択肢も多様化してくるはずである。ただ、いつの場合でも、第一のターゲットは、やはり主婦であることに変わりはない。そのためにアンテナを張り、いま主婦の間で話題にのぼっていることは何か、積極的にリサーチすることも大切であるし、利用できるものなら何でも貪欲に活用したい。
一度来てくれたお客は、必ず生涯の顧客になっていただく。これはカウンター担当者の心すべき課題である。一人の固定客を、一軒の固定客に発展させ、クリーニングのホームドクターになるというキャンペーンを行ってみるのもいいだろう。
少し面倒でも、各個人の手持ちの衣料のカルテを作っておけば、営業にも利用できる。家族全体の利用料金の総計を定期的に集計し、その結果に応じて特別サービスを実施する、家族の中の高齢者に時節柄、別途プラスアルファを考えるというように。