第5回 法人化とお店の名前
正月の家族会議で、ウチの店「白猫クリーニング店」の法人化について父が了解した(カナエ姉さんに押し切られたともいえる)。経理は素人のボクだが、有限会社は経費処理が有利にできて経営状態が把握しやすいし、金融機関(融資元)の選択枝も広がることは知っている。
有限会社の設立には専門知識が必要だし、今後の会計処理(決算書作成など)もあるので、カナエ姉さんの知人の税理士に依頼した。
ただし、会社の商号や代表者(役員)はこちらで決めなければならない。
家族(個人)経営が法人化するとき、普通は父が「社長」、母が「専務」となるそうだが、ボクの母はエライ。「会社の『専務』って、社長の代理で銀行と交渉するんだろ?アタシよりも仕事がわかるカナエの方がいいわよ」と言った。
カナエ姉さんに「ボクの役は?」と言ったら「アンタは営業スタッフかな」と即決。確かに、家族全員に役職付けたら社員がいなくなっちやうからね。
問題は、登記する商号だった。父は愛着のある「白猫クリーニング店」に(有)を付ければいいと言い張り、ボクは若いお客様にも親しまれる「(有)クリーニングショップしろねこ」を主張。
サンタ「いつまでも古い名前にこだわっていたら新しいお客さんが来ないし、新しいサービスも浸透しないよ」
父「バカか、おまえは!店の名前を急に変えたら、お客が違う店だと思って逃げちまうだろが。ウチが潰れたと思われたら、どうすんだ!」
まったく・・・新しいことを始めようとすると、いつもこの調子だ。「白猫」が「黒犬」になるわけじゃないし、だいたい店名が変わっても同じ人が受付するんだから、お客さんが間違えたり潰れたと思うわけないでしょ。
ところが、カナエ姉さんはエライ。「サンタ、なぜ店名にこだわるの?登記する商号と看板の店名が違ったっていいじゃない」というわけで、商号は「白猫クリーニング(有)」そして看板やチラシは「クリーニングショップしろねこ」と変えることにした。
そして最後に、カナエ姉さんが言った。「さあ、営業スタッフ。キミの営業力と企画力の出番だよ」
わが家はやはり、女性が強いようだ。
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