技術ノート
第10回 水洗する上での基本"工業洗濯水質基準"

■工業洗濯の水質基準(私見)

項目 基準値 解説
濁度 20ppm以下 水に溶解しない物質の混入度1度以下
水素イオン濃度 7.0 最終すすぎのアルカリ度30ppm以下
アルカリ度 50ppm以下 メチルオレンジを指示薬とするアルカリ度
硬度 50ppm以下 水中のカルシウム、マグネシウム量
鉄分 0.1ppm以下 0.05ppm以下が基準という所もある
マンガン 0.1ppm以下 0.05ppm以下が基準という所もある
塩素イオン 20ppm以下 意外とやっかいなもの
蒸発残留物 200ppm以下 100ppm以下が基準という所もある
シリカ 15ppm以下 ロール機等に悪さをするもの
  • 水の硬度(カルシウム、マグネシウム)の場合、水1tonに50g以内
  • 1ドイツ硬度=17.85ppmです
  • PPM とは、何かの成分が1リットルの水に何mg含まれているかです

■工業洗濯その他の水質基準

項目 基準値 解説
色度(着色度) 5度以下 色が付きます
電気伝導度 200μS/cm 通電性の高いものが含まれるバロメータ
過マンガン酸カリ消費量 100ppm以下 この基準値は水道法で定められている
COD 2ppm以下 お馴染み化学的酸素要求量

■項目の解説

濁度

水中に懸濁物質(水に溶解しない)が混入している度合いを表す。例えば泥水、有機物があり。数値が高い場合濾過が必要。

水素イオン濃度

pHが高いとすすぎで中性になり難く、アルカリ焼けの原因となります。最終すすぎのアルカリ度は、30ppm以下が望ましい(タオルの場合10ppm以下)。

アルカリ度

ボイラ用水の管理時重要視され、これが多いと炭酸ガスの発生が多くなり、蒸気が酸性になる。このため蒸気使用機器が腐食します。蒸気回収している場合、洗濯機直蒸昇温は不適。

硬度

硬度が高いと洗剤の働きが悪くなります。石鹸の場合、硬度成分と石鹸が結合し、金属石鹸を生成。石鹸の浪費と金属石鹸による再汚染が懸念されます。対応するには金属イオン封鎖剤の多く配合されたものを要採用。軟水器設置も望ましい。

鉄分が多いと、被洗物が黄変するので要注意。キレート剤で対応するか、除鉄装置設置。

マンガン

マンガンが多いと、被洗物は褐色変が起こる。

塩素

この数値が高いと、ボイラーや洗濯機械の腐食が促進されます。

蒸発残留物

Si、Ca、Na、Mg、Al、Fe、Cl等の有機物、動物の排泄物等の有機物の事。

シリカ

チェストロールの表面にスケールとして付着。シーツにプリーツ状のシワを作ったり、ガイドテープが切れやすくなります。シリコン系の仕上げ剤で対応。

色度

色度が高いと被洗物が変色しやすい。改善するにはオゾン処理法、活性炭吸着法があります。

電気伝導度

再生水の場合これが高くなります。ナトリウム、塩素イオンが伝導度を上げる。数値が高くなるとクスミの原因となります。

過マンガン酸カリ消費量

有機物、無機物の過マンガン酸カリの消費量の事。水中の有機物の目安。

化学的酸素要求量(COD)

この数値が高いと有機物が多く含まれていることとなり、すすぎ性が悪くなり、色冴えも低下。

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